生活空間に欠かせない収納家具。家具の選び方と収納のコツは?

チェストやブックシェルフなど、普段使うものを収納する家具は快適な住まいには欠かせないアイテムです。
そんな収納家具、実際にどのように選び、収納すれば良いのでしょうか。
そこで今回は、知って得する、収納家具の選び方と収納のコツをご紹介。
家具の選び方と収納方法さえ把握できれば、いつもの生活空間がより快適になります!

1 収納のコツ まず、収納のコツを理解する前に把握しておきたいことがあります。
 
 

収納を考える時に必要な2つの把握ポイント

収納場所や収納するものについて、一度下記のポイントを把握しておきましょう。

ポイント① 普段の持ち物を把握

家族の人数やライフステージ(入学や進学、独立など)によって、家族メンバーそれぞれの持ち物や数は大きく変わります。
まず、現在家族それぞれがどれだけの持ち物を持っているか確認してみましょう。

確認後、

❶ 今必要なもの(毎日使うもの)

❷ 今は不要なもの(ほとんど使っていないもの)

に分けましょう。
今必要なものは自室に、不要なものは物置や押入れなどにまとめて収納しておくと、毎日過ごす生活空間がすっきりとします。

ポイント② 家中の収納スペースの把握

急な来客時や大掃除の際にまとめていろいろなものを詰め込んでいませんか?
何を入れたか忘れている方も多いのではないでしょうか。

まずは収納を考える際に、今の生活空間にどれだけの収納スペースがあるのかチェックしてみましょう。
既に収納できない場所があれば、そのスペースに不要なものがないか、ちゃんと有効活用されているか必ず確認しましょう。

この見直しをすることで、

❶ 収納できるスペースがより確保できる

❷ 不要な収納家具を購入しなくても良い

といったメリットを得られます。

2つのポイントを把握したら、次は収納物の「使用頻度」をチェック!

先ほどご紹介した2つのポイントが把握できたら、次は収納したいものの「使用頻度」をチェックしてみましょう。
使用頻度の高いものと低いものを分けて収納することで、より効率的に収納できるようになります。

使用頻度の高いもの… 使う場所の近くに必ず置く

普段使いで頻繁に使うアイテムは使用頻度が極めて高いものです。
これらは、書斎の引き出しやキッチンの引き出し・食器棚など、取り出しやすい場所(使いやすい高さの場所)を確保してから収納しましょう。

空間別に見る利用頻度が高いものと収納場所の例:

リビング… 雑誌、リモコンなど

→おすすめの収納場所…テレビボードやキャビネット上部など

キッチン… カトラリー類、調味料、ラップなど

→おすすめの収納場所…レンジ台上部、食器棚下段など

洗面台… 石鹸、タオル、基礎化粧品など

→おすすめの収納場所…洗面台シェルフ手前、洗面台引き出し上部など

使用頻度が低いもの… 使う場所から離れた場所に保管する

使用頻度が少ないは、物置や吊り戸棚の上、押入れに保管していても問題はないでしょう。

利用頻度が低いものと収納場所の例:

家で使わないもの… スーツケース、キャンプ用品など
季節によって用途が限定されるもの… こたつ、扇風機など

収納場所… 小型〜中型のものは床下収納、大型のものは屋外倉庫や押入れ・クローゼットなど

定位置を決める

使用頻度の高さに関わらず、「定位置を決める」ことも収納を考える上では極めて重要です。

定位置が決まっていない場合、

❶ せっかく収納したのにお部屋が散らかりやすくなる

❷ 使うたびに使いたいものを探さなければならない

といったデメリットが生じやすくなります。

こうした手間やデメリットを減らすために、必ず収納の際には定位置を決めておくことが大切です。

また、定位置を決める以上、

❶ 同居する家族に定位置収納を徹底してもらう

❷ 使ったら必ず定位置に戻す

という習慣づけをすることも必要です。

意外と忘れがち。収納には、「飾る収納」と「隠す収納」があります

アイテムによっては、ただしまう(隠す)だけでなく「ディスプレイ」する(飾る)ことも可能です。
どんなアイテムが「飾る収納」「隠す収納」に向いているのでしょうか?

「飾る収納」

たとえば、

❶ 大切な食器や調理器具

❷ 時計

❸ 人形

など。

飾るには、

❶ 色やトーンを統一させる
(全てペールカラー、ブラウン系カラーでまとめるなど)

❷ 等間隔に並べる

❸ 収納場所が足りない場合は壁に引っ掛ける

を心がけると、お部屋がより洗練された印象に。

飾る収納には、

❶ 収納スペースが限られた場所でも、飾ることで収納問題を解決しやすくなる

❷ こなれた空間を演出しやすくなる(空間の生活感を減らせる)

といったメリットも得られますよ。

雑貨屋さんやカフェなどのショップディスプレイを参考にしながらお部屋作りを考えるのも良いですね。

「隠す収納」

アイテムとしては、

❶ 生活感がにじむもの(消耗品など)

❷ ストック品

❸ 色や形がまちまちな雑貨

など。

隠すには、

❶ 扉付き収納棚や引き出しに収納する

❷ 紙製ボックスなどに収納し、オープンシェルフに並べる

などが現実的でしょう。
収納棚がなくどうしても隠しにくい場合は、ロールスクリーンなどを天井から吊り下げて目隠しを作るのも有効です。

場所別に収納のポイントをおさえよう

場所によっては使うアイテムも異なりますし、収納方法も変わります。それぞれどのような収納をすれば良いのでしょうか?
人が集まりやすい場所別収納ポイントをご紹介します。

キッチン

キッチンは最も物が増えやすく、収納に苦労する場所なのではないでしょうか。

コツ1 流し台の下に収納しすぎない

流し台の下のスペースは観音開きの場合はしゃがまないとものが取りにくく、深めの引き出しタイプの場合も積み重ねて収納しにくいといったデメリットがあります。
こういったデメリットのある場所は、よく使うものを多く収納しすぎないようにするのがおすすめです。
収納するとすれば、すぐ上の流し台で使うざる、洗剤類などを入れると使いやすいでしょう。

コツ2 ガス・レンジ周りは「掃除のしやすさ」を優先

ガスやレンジ周りはキッチンの中でも最も汚れやすい場所です。
ここでは飾る収納は控えめにし、何もない場所を広めに取るよう心がけてみましょう。
掃除がしやすくなるだけでなく、多くのもので狭く見えがちなキッチンが広く見えます。

コツ3 鍋やフライパン類は市販の「ラック」で庫内の無駄を省く

鍋やフライパンはサイズを問わず、収納庫内のスペースを取るものです。
収納庫内に積み重ねるのも良いですが、おすすめは「ラック」を使って縦に並べること。縦に並べることでアイテムを持ち上げやすくなり、庫内スペースも大幅に省けます。
デザインの良いものなら、壁に飾ることを検討しても良いでしょう。

リビング

「くつろぎ」「だんらん」の空間ですが、家族が集まる場所柄、この空間も物が多くなりやすい場所です。

コツ1 全てが収まる収納スペースを確保

リビングは家族みんなが集まる場所なので、他のスペースより物が散らかりやすくなるため、収納場所は必ず確保しましょう。

おすすめとしては、「壁面収納シェルフ」や、「腰までの高さのキャビネット」が圧迫感を感じにくく取り入れやすいでしょう。
幼いお子様がいらっしゃるご家庭なら、おもちゃ箱の確保も必須ですね。

ただ、全てを収納するとなると、空間が収納グッズや家具であふれてしまうため、事前に「飾るもの」「隠すもの」を確認しておくことも大切です。

コツ2 おもちゃは1ヶ所に

特に散らかりがちなアイテムとして、子どものおもちゃ類が挙げられます。
別々の場所に分けて置いておくと散らかった印象を与えやすいため、定位置を決めて1ヶ所にまとめて収納すると良いでしょう。
場所を決めておくと来客時も片付けがしやすくなります。

コツ3 個人のものを置かない

リビングは、「家庭内の公共スペース」。
個人のものを置くとすぐにものであふれ返ってしまいます。
どうしても一時的に置かなければならない場合は、個人保管用のケースなどを用意しておきましょう。

水回り

洗濯機回りや洗面台なども細々としたものが多くなりがちです。

コツ1 トイレ収納の「直置き」は避ける

清潔感と空間内の広さを保つため、アイテムの直置きはなるべく避けましょう。
収納スペースがない場合は、空間に突っ張り棒やボードを使って収納棚を作ってみてはいかがでしょうか。
サニタリー用品やトイレットペーパーなどのアイテムは、カゴやボックスに入れて収納すると良いですね。

コツ2 洗濯機回りは「棚」作りがカギ

洗濯機回りも収納が少ない場所です。こちらも、お手洗いと同じく突っ張り棚を用意するのがおすすめです。
棚にカゴを置き、中にタオルや洗濯用品などを収納すると生活感が出にくくなります。

コツ3 洗面台のアイテムはシンク下収納を有効活用!

洗面台も、メイクアイテムが多い方や家族人数が多い方にとっては収納が少なく悩みの種になりやすい場所。
洗面台の場合は、歯磨き粉やメイクアイテムなどは手に届きやすい「ミラー棚の中」、シャンプーや毛染め剤などのストック品は「シンク下」に収納するよう心がけると、毎日必要なものとそうでないものがはっきりと分けられて便利です。

2 収納家具の種類と選び方さて、ここまで収納の方法・コツをご紹介してきましたが、「収納家具にはどんな種類があるの?」「収納家具の選び方も知りたい」と思った方もいらっしゃるのでは?
ここからは、収納家具の種類や選び方をご紹介します。

収納家具にはどんな種類がある?

収納家具には、主に下記のようなものがあります。

シェルフ(棚)

扉がないタイプが多い家具で、見せても良いものを飾る家具といえます。
飾り棚として使えるため、コレクションや書籍、写真などを飾るのにはぴったりですね。
基本的に木製のものが多いですが、メタルやプラスチック製となると「ラック」と呼ばれるものもあります。

チェスト(引き出し・フタつき家具)

フタや引き出しが付いている収納ボックスです。身近なものとしてタンスがあります。
タオルや消耗品、食品、衣類など、飾らないものを入れるのに適しています。

キャビネット

収納棚という意味をもつ家具ですが、壁面に使うものや食器キャビネット、書籍キャビネットなど種類と用途は多岐に及びます。
引き出しやオープンスペース、扉も付いているため、お部屋や用途にあわせて様々なデザインが選べます。チェストよりも小回りが利きやすく、見せたいものと見せたくないものを管理しやすいのが利点です。

どれを選ぶべき?

では、どんな収納家具を選べば良いのでしょうか。
判断基準は、収納物が下記のどちらに当たるかで選ぶと良いでしょう。

置くだけでOKなもの

普段よく使うものや小物類、飾りたいもの
→適した収納家具… シェルフ(ラック)、オープンキャビネット、ガラス扉つきのシェルフやキャビネット

しまいたいもの

衣類などほこりをかぶせたくないもの、使用頻度が低いもの、人に見せたくないプライベートなものなど
→適した収納家具… チェスト、扉付きキャビネット

収納したいものがどちらに当てはまるかを判断し、それぞれに適した収納家具を選んでみましょう。

サイズ感の選び方

収納したいものと適した家具が把握できたら、次は収納家具のサイズを決めましょう。

サイズには主に、

❶ 高さ

❷ 幅

❸ 奥行き

があります。
順番に選び方・サイズの決め方をチェックしてみましょう。

❶ 高さ

収納するものにもよりますが、天井ぎりぎりの高さなどあまりに高すぎるものを選ぶと、圧迫感を感じやすくなります。
そのため、高さはなるべく自分の腰から肩くらいの高さなど、自分にとって圧迫感を感じにくいものを選ぶと良いでしょう。

どうしても高さがあるものを選ばなければならない際は、奥行きが浅めのものを選ぶと視覚的な圧迫感を軽減できます。

❷ 幅

なるべく、収納するものの幅に合わせたものを選ぶと収納スペースがすっきりとして見えます。空間が空きすぎると「まだ収納できる!」と感じ、不要なものも一緒に収納してしまいがちですし、棚や引き出し内の収納物バランスが取りにくくなってしまいます。
そのため、なるべくジャストサイズのものを選びましょう。

❸ 奥行き

奥行きも、幅と同様になるべくジャストサイズのものを選ぶのをおすすめします。
収納物やディスプレイに対して奥行きが深すぎる場合、

❶ いざ収納物が必要になった時に取り出しにくい

❷ ほこりがたまりやすく掃除がしにくい

といった弊害が生まれやすくなります。

また、複数の収納家具を購入する場合は、なるべく奥行きを統一した方が良いでしょう。
奥行きが異なる家具を並べると、使いにくいだけでなく、見た目も悪く、生活動線を邪魔しやすくなってしまうためです。

収納物別奥行
15cm程度15cm〜20cm30cm〜35cm40cm〜45cm50cm〜75cm80cm〜90cm
トイレットペーパー、文庫本などCD・DVDなど書籍・シューズ類など食器・調理器具・衣類(シャツ・カットソー類)など大型衣類(コート類)など布団・座布団など

《表:収納物に応じた奥行きの参考》

「お部屋」のサイズも必ずチェック!

ダイニングテーブル

ここまで収納家具そのもののサイズについてご紹介しましたが、お部屋のサイズも把握しておきましょう。
このチェックがないと、「せっかく買った家具が部屋に入らない!」という事態も起こりかねません。

また、お部屋のサイズを測るのはもちろん、家具を置く際の妨げとなりやすいポイントをチェックするのも重要です。
どんなポイントをチェックすべきなのでしょうか。

忘れがちな室内測定ポイントをチェック!

❶ 壁の下部にある「幅木」

❷ 天井の下がり部分「梁」

❸ 床のドアストッパー

❹ コンセント

❺ 窓のサイズ

❻ 床からエアコンまでの高さ

お部屋の広さだけでなく、これらのポイントもチェックしてお部屋にぴったり合うサイズの家具を見つけましょう。

家具タイプによって必要な空間サイズを把握しよう

家具によっては、引き出しや扉が付いたものがあります。
空間の広さの都合で、引き出しが引けない、扉を開けるとどこかにぶつかる……などという事態は避けたいですね。

空間が狭く、扉や引き出し付きの家具を配置しにくい場合は、

❶ 折れ戸タイプ

❷ 引き戸タイプ

のものを選ぶのがおすすめです。
引き出す時や開ける時に必要な「家具の前スペース」を取りにくく、お部屋の空間を節約できます。

扉のタイプメリットデメリットこんな用途におすすめ!
オープン
  • 出し入れが簡単
  • 奥行きを無駄なく使いやすい
  • 視認性が高い
  • 低価格な傾向あり
    • セキュリティ性が低い
    • 揺れに対する耐性が低い(地震など)
    • 棚にほこりがたまりやすい
    • コレクションのディスプレイ
    • 頻繁に使うものの収納
    片開き
    • 出し入れが簡単
    • 片手でも開閉可能
    • セキュリティ性が高い
    • 低価格な傾向あり
      • 扉と同幅の開閉スペースが必要
      • プライベートなアイテムの収納
      • 食器や食品などの管理
      両開き
      • 出し入れが簡単
      • セキュリティ性が高い
      • 開閉スペースが片開きタイプよりも少ない
        • 扉と同幅の開閉スペースが必要
        • 全体的に広めのスペースが必要
        • プライベートなアイテムの収納
        • 食器や食品などの管理
        スライド式
        • 扉の開閉スペースが不要
        • 耐震性が高い
        • セキュリティ性が高い
          • 扉のレール部分の掃除が必要
          • 常に空間の半分が扉に覆われているため、出し入れがやや不便
          • 奥行きが狭くなりがち
          • 狭いキッチンやリビングなどの収納
          • 長期保管が必要なアイテムの収納

          《表:扉タイプ別メリットとデメリット・用途の図》

          サイズ・用途だけでなく、「色と素材感」も重視しよう

          サイズと用途以外で意識しておきたい点もあります。
          それは、「家具の色と素材感」です。
          複数の家具を購入する際、家具の色と素材をある程度揃えておけば、お部屋に統一感が生まれ、お部屋の印象がより洗練されたものになるでしょう。

          カラーや素材感に悩んだら、お部屋内で面積が最も広い床の色や壁のカラーで家具の色を決めると良いでしょう。

          たとえば、

          ❶ 壁がホワイトなら、ホワイト系の家具で統一する

          ❷ すでにある家具がブラウンなら、新しく買う家具もブラウン系のものを選ぶ

          ❸ 床がダークブラウン、壁がホワイトなら、どちらかのカラーに近い家具で統一する

          といった方法です。

          空間内で面積が最も広いもののカラーに近い家具を配置することで、カラーの失敗を防げるだけでなく、空間がより落ち着いたものに変化します。