四季を感じるインテリア > 4月のインテリアノート
月のテーマ *4月はほどける*

「ほどける」
この言葉にあなたはどんなイメージを持ちますか?
緊張していたものが、ゆったりとした状態になる…そんな言葉ですが、
丁寧に折り畳まれた新芽がゆっくりと広がっていく様はまさに「ほどける」。
花も葉も、待ち望んだ春にその身をゆだねるように伸びやかに広がっていく…

春とはそのような季節なのです。
今回はそんな春を楽しむ
「ほどけた」アイテム使いをご紹介しましょう。

床の間がほどけて…

ちょっと驚かれるかもしれませんが、春の床の間のしつらえです。
なにがなんでも掛け軸?絵画?…そんなに固く考えずになさっては?という提案です。

滝のように見えるのは黒い紗の帯をかけて流し、それに重ねてテグスと綿糸を 緩くくさり編みしたものを何本も添えたものです。

イメージとしては深山渓谷に分け入って、秘滝を見つけた時の畏敬の念すら覚える鮮烈な清らかさ…と言うところでしょうか。
イメージを膨らませて、滝の脇に生えた枝がしぶきで揺らいでいる様を横の新緑の枝で表します。

それ自体で完成された絵画や軸には、これと言ってこちらが介入する隙がありませんが、このような見立ての楽しみで作るものには、その時々の当意即妙な関わり方が生きてきます。

滝壺の表現部分、つまり床の帯のが畳まれた上に たゆたうテグスのもつれたようなかたまりが、端では一本の糸にフェードアウトしている部分が、まさに「ほどける」。

滝の水音と小鳥のさえずりが聞こえてきませんか?

四角がほどけて


これは食器を使ったアイデアです。

上のものは透明な箱のようですが、実はアクリルのお重なのです。
四角くきっちり角を合わせて重ねて使うのが普通ですが、少しずつずらして重ね、下の段にカトラリー、上の段にハランを敷いた上に和風のケーキを並べました。ふたを斜めにした事で四角がほどけたような和らいだ印象になっています。

今回は菓子器のような形で供されていますが、花をいける事も楽しいと思います。いずれにせよ四角いものでも扇が開くように回転させて重ねると新鮮な印象が生まれると言う事です。

下のものは黒と白(生成り)2枚のスクエアプレートを使って
テーブルのセンターピースを作ったものです。

センターピースとは、通常は花やキャンドル、果物などで構成された食卓中央の飾りの事です。
黒には白砂で流水文、白には水を張って蓮のキャンドルとフェイクの葉を浮かべ、二つの対比で印象的な構成にしています。

いつもはパスタを盛るお皿が、こんな安らぎのアイテムになっています。

まぁ〜るい円がほどけて…



丸いという事には、完全無欠の緊張感があります。
力学的にも周辺の均衡を保った形だけの事はあります。

そんな丸いものの中で、ふと横に伸びたような楕円(オーバル)は
どこかに取りつくしまを作ったような、優しさがあります。

画像のプレートの場合、全体に何かを盛ると言うのではなく、3種くらいを小盛りにしても配置が楽に決まります。中盛りと小盛りの2種もいけますし、コーヒーのカップを右手前に添えるのもらくらく。それでいてどう持ってきてもおしゃれに見えるというところが魅力的。

楕円皿を使うとき、誰でも横に長く持ちますね?
視野にフィットした形なのでしょうか。

ほどけるという言葉をキーワードに、いくつかのアイデアをご紹介しましたがいかがでしたか?
春は元気な季節だけに、ちょっとタンマ!を入れながら頑張るくらいが良いですよ。
ささやかなリラックスをもたらす、「ほどける」こと。

身の回りをよく見るとまだまだ、ほどける事は多いのじゃないでしょうか?
緩むと言ってもだらしなくするのではなく、
問題解決の爽快感も
併せ持つほどけ方で
楽しんでみてくださいね。

インテリアコーディネーター:山口由美子

< プロフィール >
グラフィックデザインを学んだ後、インテリアの世界へ。(インテリアコーディネーター資格の登録1期生)
店舗のウインドウディスプレイや個人住宅のインテリアなどをお手伝いされています。
 創作グループ:霞夜工房 代表

 

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