四季を感じるインテリア > 11月のインテリアノート
11月のテーマ 秋の和の楽しみ

最近、街中で着物姿の人を見かける事が多くなって来たように思います。

古民家が見直されて、良さを生かすリフォームを望む方も多いとか。
時代の流れが、古き良き時代の自然とともに生きるライフスタイルを再び求めているのでしょうか。

今回はそんな和の暮らし、日々の中に取り入れてみませんか?

 京都の秋景色 


紅葉真っ盛りの秋は、今年も京都はたくさんの人出でしょうね。
最近驚いたのは、観光地で着物の方を良く見かける事。 どうも、小紋や紬の着物を、レンタルで着付けてもらうサービスが有るらしいのです。旅先での非日常の装いも、また楽しい物なのかもしれません。それにしても、和風の庭と家屋、やはり着物の方のほうが似合います。所作も自然に違ってきますから、どすどすと座敷に上がり込む「無作法な観光客」にならずにすみます。

ふすまは坐って引き手に手を掛けて開ける、敷居や畳の縁を踏まない、といった作法のどれもが、建物を大切に使う効用が目的です。たくさんの観光客を迎えられるこういった寺社仏閣は、消耗の頻度も大変な物でありましょう。所によっては、障子・ふすまを開け放ち、畳には観光客をいれないなどの自衛手段を講じられているところも有りますね。その意味をしっかり理解しましょう。

 茶室の美 


こちらは、半年前に開館したばかりのある美術館内にもうけられている別棟の茶室です。ほぼ毎日こちらでは呈茶が供されていました。
周りを濡れ縁で囲んで、周辺の雑木林の風景を取り込んだ茶室は、シンプルで現代的にも思えましたが、これがなかなか、ふすま戸や床には桂離宮などの古典的なエッセンスが随所に見られました。

建具の桟が黒いので特に白い障子紙との対比が美しく、茶席の客の坐る場所を示す緋毛氈(ひもうせん)の鮮やかな赤が、晴れやかな席のアクセントカラーになっています。日本の家が地味なのは、こうして着物姿の女性を配したとき、あでやかに引き立てるためではないかと思ったりします。

今の木造住宅建築の常識では、部屋の角までこのように建具を連ねる事は構造上難しいと思いますが、この開放感は昔の家の特徴でしたね。

和室の開口部でよく見られる、ガラス戸と障子の2重窓は、間に空気の層ができるのでエアコンの効率が良くなりますし、障子戸という明るいフィルターを介して陽射しのコントロールもできます。

 床の間への敬意 



最近はあまり床の間をちゃんとしつらえる機会がありませんね。
お宅ではどうでしょうか?本来のしつらえであるべき和風旅館ですら、床の位置に似合わない油絵がかかっていたりして、がっかりする事も有ります。
床の間は掛け軸や色紙の書画を楽しむための場所なのですから、1本の掛け軸、1枚の色紙掛けで良いですからお求めくださいね。

そして、その下には生け花が?またまた生け花の素養を求められる??
いえ、一輪挿しで良いのです。画像の場合は、左横にある床脇に大きな瓶に生けられているので、床の間には螺鈿の盆に骨董の香炉、そばに香を入れておく香筒を配しています。茶席でのしつらいですが、シンプルで緊張感も出る私のお気に入りのセッティングなのです。

本式のサイズの床の間でなくても、ちょっとしたニッチなどを和風に飾るなら、短冊を掛けたり、小さな酒器に庭の花一輪を浮かべたりして、床の間風にアレンジされるのも良いですね。

季節感というと、花や風景によってもたらされる物が多いのですが
こざっぱりとした和室の佇まいの美しさは、なんと表現したら良いのでしょうか。

あなたの和室を、和室らしく使う生活、それはとてもシンプルな暮らしである事だと思います。
どうぞ、和を楽しむ暮らしを、お始めになってみませんか?

< プロフィール >
グラフィックデザインを学んだ後、インテリアの世界へ。(インテリアコーディネーター資格の登録1期生)
店舗のウインドウディスプレイや個人住宅のインテリアなどをお手伝いされています。
 創作グループ:霞夜工房 代表




 

戻る