こちらは、半年前に開館したばかりのある美術館内にもうけられている別棟の茶室です。ほぼ毎日こちらでは呈茶が供されていました。
周りを濡れ縁で囲んで、周辺の雑木林の風景を取り込んだ茶室は、シンプルで現代的にも思えましたが、これがなかなか、ふすま戸や床には桂離宮などの古典的なエッセンスが随所に見られました。
建具の桟が黒いので特に白い障子紙との対比が美しく、茶席の客の坐る場所を示す緋毛氈(ひもうせん)の鮮やかな赤が、晴れやかな席のアクセントカラーになっています。日本の家が地味なのは、こうして着物姿の女性を配したとき、あでやかに引き立てるためではないかと思ったりします。
今の木造住宅建築の常識では、部屋の角までこのように建具を連ねる事は構造上難しいと思いますが、この開放感は昔の家の特徴でしたね。
和室の開口部でよく見られる、ガラス戸と障子の2重窓は、間に空気の層ができるのでエアコンの効率が良くなりますし、障子戸という明るいフィルターを介して陽射しのコントロールもできます。 |